いや、本当に地方の中小企業社長のWEBリテラシーの低さを甘く見てはいけません!
多分、地方都市で活動するWEBサイト制作会社のスタッフや経営者の方は、必ず一度はぶち当たる問題かと思いますが、
「田舎なの社長のWEBリテラシーを舐めると痛い目を見る!」
久々にこの問題と直面したので、心に深く刻むためにも、記事にしておこうと思います。
この記事は、WEB制作の仕事に携わっている方が、少しでもクセの強い中小企業の社長と契約上のトラブルが減ってくれることを願って書いています。
また、単に「そうそう。そういうのあるよねー」と、明日の仕事の活力にしてください。
中小企業の社長に見られるパターン
まず、予めお伝えだけはしておかなくてはならないのは、
お客様になっていただくのは大変ありがたいことで、私は心から感謝をしている。ということです。
ただ、私が気をつけているのは、今後の長いお付き合いの中でトラブルを避けるためにも、自分たちがしっかりとお客様の足並みに合わせられるような体制を作っておくことが大事だと考えています。
発注者が(中小企業の場合は大体社長さん)どこまでの期待をWEBサイトに抱いているかという点で分類分けしています。
ここでは、私の経験に基づくパターンをご紹介していきます。
まったく興味がない「無関心パターン」
ある意味、制作側は一番やりやすいパターンかも知れません。
打ち合わせの際に出るキーワードは
「そんな感じでやっといて」
「君を信じてるから」
「任せるから良いもの作って」
「プロに任せます」
このへんのキーワードを好んで使う傾向があります。
私が注意しているのは、このときに「責任」が「誰」にあるかをはっきりさせておかないと、後に大変な苦労をするケースが出てきます。
興味がないということは、ホームページだけでなく、パソコン自体にまったく知識や経験を持っていない場合があります。
打ち合わせなどでわかったようは雰囲気になりますが、言葉がまったく通じておらず、意思疎通が難しいことに気が付かないケースもあります。
まめな連絡や相談、報告などを怠らなければ、きっと仕事自体はスムーズに進むと思います。
それから、パソコンの設定やメール設定、Youtubeの動画の探し方などなど、「パソコンに詳しい人」という括りにされます。
もっとひどい場合は「通信や広告関係は全部任せる」というような、なんでも屋されてしまうケースがあります。
こうなると、仕事以外の仕事が激増する上に、言葉が通じず面倒がかなり増えます。
悪意がある人は少ないので、適度な距離で付き合い、できないところとできるところをしっかり伝えて付き合っていくしかありません。
すべて手中に収めたい「完璧束縛パターン」
これは、こだわりが強い経営者の人に多いようです。
私の場合この「完璧束縛パターン」は大きく3分類にわけています。
この完璧束縛パターンのお客様は、とても勉強していたり、WEBに詳しい人が多いです。
自分でもサイトを作れてしまう人もいます。
つまり、仕事をしっかり理解してもらえます。ただ、問題なのは、その情報が間違っていたり、古かったりした場合です。
そのときの対処に困らないよう、しっかり情報を伝える理論武装をすることが、私の経験上最高の対策です。
デザイン・見た目こだわり型
デザインにこだわる方はとても多いです。
実際、デザインはお店や会社の印象に影響を大きく与えるので、できるだけ発注者のイメージに近づけて作ることは、制作会社として重要な仕事です。
ただ、困ってしまうのは、感覚が古い人、言葉は悪いですが、ダサい人。
この場合は、しっかり説明したり、理論を伝えることでだいたい解決します。
しかし、一番対処が不能になるケースは、持っているデザイン技術やスキル以上を求めてくる場合です。
これは、営業段階でしっかり伝える必要がありますし、契約書にもしっかり記載するべきです。
デザインは一番、目に付く場所であるにも関わらず、感覚に依存してしまいます。トラブルにならならいように、この「見た目こだわり型」の人に出会った場合は、デザイナーやカメラマン・イラストレータとしっかり打ち合わせをするようにしています。
売上・集客こだわり型
ECサイトや問い合わせをコンバージョンさせることを目的にしている人はこのこだわり型の人が多いです。
実際には、制作段階ではLPデザインなどコンバージョンに影響する制作でない限り、あまり細かい指示などは少ない傾向があります。
この型の人が求めているのは「成果」になります。そのため、納品後3ヶ月後くらいから、色々と質問や報告を求められることが多くなる傾向があります。
しかし、サイト運営契約の場合は、もちろん対応するのですが、サイト制作だけの契約で、成果を求められると予算の関係上、対応ができなくなりトラブルになるケースがあります。
特に、言われることが多いのは「検索しても出てこない」という言葉です。
会社名などの検索ではなく、業種名での検索で上位表示が当たり前のようにされると勘違いしている場合も多々あります。
WEBサイトは、ただお客さんが来る前の店舗づくりだけで、サイト運営は別に費用も作業も必要だということを、事前にしっかり伝えておくことが大切です。
もし、アクセス解析などを提出できるようなら、毎月レポートを提出したり、解析の見方などを指導したり、セミナーなどに参加してもらうと良い関係を構築でき、追加の発注が出やすいのもこのタイプの人達ですね。
独自の価値観こだわり型
これは一番困ります。
対策が不能です。
ただ、悪意がある方は少ないので、しっかり話を聞くことで解決をしていくしかありません。
お医者さんや先生など専門性の高い業種の方に多いパターンなので、営業・打ち合わせなどお客様と接するたびにしっかり、コミニュケーションをとる心構えこそ最高の対策かと思われます。
WEBはなんでもできると勘違い「夢見心地パターン」
このパターンは往々にして営業の責任のケースがほとんどです。
中には、いくら説明してもWEBはお金をかけず簡単に稼げると思い込んでいるお客様もいますが…
WEBサイトを使って何かしたい。とお客様が考える場合に、営業がなんでも「できます!」と言ってしまっているケースが問題です。
今の時代は、WEB上で成果を出すのは大変です。
個人のように、自由に情報を発信できれば、色々な戦略を組み立てられますが、コンプライアンスやしがらみ、田舎独特のやっかみなどなど、自由度が低い中小企業がWEBサイトで大きな成果を出すことは大変です。
営業の際には成果を誇張しすぎないことがポイントです。
私がすべてを決める「独裁者パターン」
すべての決定が社長の頭の中にある場合、このパターンになります。
完璧束縛パターンと似ていますが、この独裁者パターンは「部下に担当させるタイプ」です。
この独裁者パターンを見分けるときの一番の材料は、担当者の意思決定が遅いときや、コロコロ変わる場合は気をつけなくてはなりません。
最悪の場合、納品間際になってからの方向転換やシステム変更もありえるから恐ろしい…
こんな企業はチェックが必要です。
- 地方の中小企業でも少し規模が大きい会社
- WEB担当者はおらず、パソコンに詳しい人が担当、またはまったく知識のない総務部長などが担当
- 社長は割と高齢で地域でも影響力がある
- 担当者が社長の陰口を言う
- 契約や交渉時に社長が出てこない
- 予算感が小さい案件のときは、スルーされるのですが、目立つ金額の受注の場合や、社長自らの指示のときは、担当者から情報を聞き出しながら、しっかり途中の社長確認を取りながらプロジェクトを進めたいところです。
今さら、わからないなんて言えないよ「秀才エリートパターン」
私はネットに詳しいです。という社長です。
ある程度、友人知人にもWEB関係の仲間がいるなど、情報には明るいですが、もちろん専業ではないのでプロのレベルの知識や技術を持っているわけがありません。
ですが、自分は知っている!できる!と思い込んでいるせいで色々とトラブルを作り出すことがあります。
基本的には、こちらのいう事を信じてもらう為には、知識や実績などで「自分より上」と感じてもらうような状況を作ることが重要です。
もし、自分より知識が少ないと感じられると「完璧束縛パターン」の亜種に変貌することが多々あります。
気をつけなくては行けないのは、社長本人ではなく、部下や仲間にやたらウンチクだけ持っている取り巻きがいる場合です。これは何かトラブルや不信感があった場合、突如、現れて引っ掻き回した上で、責任を取らずにいなくなる。という事態を引き起こすことがあります。
いずれにしても、他のタイプと違いWEBリテラシーが高い方なので、一緒に問題を解決しながら良い提案を出すことで、とても良いサイトが出来上がります。
しっかり対応すれば一番良い味方になってくれるタイプもことタイプかも知れません。
なんでも無料でお願い「無価値パターン」
制作屋さんにはこのタイプの社長は大変です。
例えば、「写真は他でも使うから多めに撮っておいて」とか「ロゴマークも作っておいて」とか「他のデザインも何種類かみてみたい」とか…
とにかく、パソコンで作るものは、タダで出来ると信じ込んでいます。
そのため、契約後の追加要件がやたら多くなったり、最終的な満足度が低かったり、と、なかなか理解をいただけないことが多いタイプです。
正直、私はこのタイプのお客様は苦手です。
しっかりと説明ができていなかった私に問題があるのですが、過去にECサイトの立ち上げを無料で追加することになった苦い経験があります。
もちろん大赤字です…
しっかりと、料金内で「やること」と「できること」「追加料金でできること」「料金を追加してもできないこと」を明確に説明することが大切です。
意外と他社さんでやっていないのは、「追加料金でできること」について、明確に見積もり等で提示していないために、「できること」との明確な線引ができていないことがあるようです。できないことを見せることで、できることを明確化するのは有効な方法です。
最強の敵「権力爺さんパターン」
「会長」という肩書きの中小企業の社長のお父さん。
このパターンが一番多いです。
この権力爺さんが出てくると、納品直前で話がひっくり返ったり、最悪キャンセル…という場合もあります。
地方にはこんな爺さんがウヨウヨいます…。
自分が知らないものには手を出さない。というのは、堅実な経営をする上では重要ですが、WEBサイトや社内のIT化などへの投資への理解を示さない場合、その会社とは取引しない、もしくは、社長の世代交代がしっかりと終わるまで、じっと待つ。というのも一手です。
ただ、長い間、その地域で経営をしてきていることで、信頼を得られれば、一気にその地域の紹介をもらえるパターンになります。
当たり前ですが自社のサービスや商品だけではなく、人と人とのつながりに誠意を持ち、日々の対応の積み重ねによる信用がとても大切です。
実際のところは、この権力爺さんパターンを得意とするWEB屋になれば、その地域を攻略できている状態なのかもしれません。
地方の戦い方にはクセがある
地方で、WEBサイトは持っていなくても商売になります。
私の街では未だにWEBサイトを持っている企業の方が少ないです。人口が少ないので、口コミによる情報伝播のほうが効果を実感しやすいです。
ただ、本当に地方の企業こそWEBに力をいれて、新しい販路の拡大や、レベルの高い人材の確保などに力を注ぐべきだと私は考えています。
もし、地方のWEBサイト制作会社の方がこの記事を読んでいただけているなら、自分の地域にある企業さまのWEB担当者として地域全体を盛り上げて行ってください。